現況検査の方法
現況検査は、以下のような条件で行われます。
- 評価員が、歩行などの一般的な手段で移動できる範囲から、目視で確認できる範囲について検査します。※
- 検査は、目視による非破壊検査を原則とし、項目によっては、スケール(巻き尺)などによる寸法の計測、打診用のハンマーによる打撃音の確認、レーザーレベルによる傾斜の計測なども併せて行います。
- また、場合によっては、申請者の同意を得た上で、軽微な破壊を伴う検査を行う場合もあります。
※近隣の状況、点検口の有無等によっては、屋根、床下などが十分に検査できない場合があります。
一戸建て住宅の検査対象
建物の構造(木造、鉄筋コンクリート造など)によって異なる場合がありますが、木造一戸建ての場合は、下図の部位を検査します(図中の番号は、共同住宅も含めた通し番号なので、・など、一戸建てでは無い番号もあります)。
共同住宅の検査対象
共同住宅でも、建物の構造などによって異なる場合がありますが、鉄筋コンクリート造の場合は、下図の部位を検査します。
部位等・事象別の判定の見方
現況検査の「部位等・事象別の判定」結果は、下図のような現況検査・評価書の様式に検査結果が記入されます。
検査部位は、住宅の種類(一戸建て・共同住宅)や、住宅の構造(木造、鉄筋コンクリート造など)により異なります。
総合判定の見方
現況調査の「総合判定」は、「部位等・事象別の判定」で対象としている劣化事象等の中から、1.構造躯体(柱や梁など)に何らかの関係があるもの、2.雨水浸入(いわゆる雨漏り)に関連があるものについての検査結果に基づき、劣化等の状況を総合的に示します。
- 総合判定の対象事象(特定劣化事象等)は、住宅の種類(一戸建て・共同住宅)や住宅の構造(木造、鉄筋コンクリート造など)、さらに共同住宅の場合は、「適切な維持管理に関する計画等」(共同住宅について詳しくはこちらを参照してください。)の有無により異なります。(総合判定について詳しくはこちらを参照してください。)
- 総合判定でA(特定劣化事象等が認められない)を得られるのは、対象事象に関する判定がすべてa(詳細調査又は補修を要する程度の事象が認められない)の場合だけです。
特定現況検査(腐朽・蟻害)の方法と評価内容
現況検査のうち、「部位等・事象別の判定」と「総合判定」は必須項目なので、評価を申請すれば必ず実施されますが、「特定現況検査(腐朽等・蟻害)」はオプションなので、評価申請時に希望するかどうかを明示していただく必要があります。
「特定現況検査」は、木造部分がある住宅の「腐朽等」と「蟻害」が対象になります。
- 腐朽とは、腐朽菌の分泌する酵素により木材の細胞壁の構成成分が分解され、木材の組織構造が崩壊して行く現象のことで、「腐朽等」とは、腐朽以外に、菌糸又は子実体(いわゆるキノコのこと)が木材上に生息している状態が含まれます。
- 「蟻害」とは、しろありの蟻道や被害が認められたり、複数のしろありが認められる状態です。
「特定現況検査」では、詳細な検査が行われます。
- 特定現況検査は、評価員が目視、打診、触診などにより、床下から屋根裏(小屋組)などについて、くまなく検査します。
- これらの検査は、指評価機関の評価員の責任と指揮監督の下で、検査の補助を委託された外部の専門家などが検査補助を行うこともあります。その場合の検査補助者の氏名又は名称は評価書に明記されます。